キュロットなんだって。2

懲りもせず2が始まったよ。

『花よりもなほ』を観たよ。

 おもしろいかおもしろくないかっつったら、相当おもしろかった!いやー楽しかったなあ。痛快です。良くも悪くも、人間の人間らしいところが詰まってますよ。観たあとにポスターを見ると、納得。と同時に顔がにやけるにやける。以下、ごりごりネタバレしています。ご注意あそばせ。

 主人公は宗左さんなんだけど、オールキャストが素敵だったよ。長屋の人たちラブ!!ちょうラブ!!今にも崩れそうなボロッボロの長屋に住んで、着てるものも粗末で汚いんだけど、彼らはとても楽しそうに暮らしてる。その日暮らしの生活に文句ばっかりなんだんだけど、すごい生き生きしとるんよね。口では「こんな長屋で一生暮らしたくない!」とか言いつつも、いざ長屋が取り壊されるとなると一致団結したりね。宗左さんが仇討ちに踏ん切りがつかなかったのは、まるっきりおさえさんのことだけじゃないんだろうなあと思った。
 おさえさんと宗左さんがものそいお似合いです。2ショットシーンはもれなくため息がでるほどで。あのガツガツしてなさは素敵だなあ。始めの方で出てきたお茶屋のシーンで2人に見惚れたときに、この映画は一言一句、一挙手一投足見逃しちゃなんねえ!と思ったの。もったいなくて。また宗左さんと進坊とのやりとりがちょう和むの!宗左さんのいいお兄さんぷりに、いちいちはーんてなる。宗左さんの真摯で穏やかなところがすごく好きだわ。話し方も笑顔も。宗左さんは弱いの。腕力もなんだけど、仇討ちのために江戸に来たのに、うっかり近所の未亡人に淡い恋心を抱いちゃってなかなか実行できない。そのうち、仇討ちってなんなの?とか自分の生き方って?とか、侍としてのアイデンティティにも疑問を持ち始めて悶々としてる宗左さんに親近感が沸きました。宗左さんはディズニーでいうところのムーランだな。新しいタイプの主人公だ。
 宗左さんのおじさんがだいぶノリのいい人で、この人にも笑わせてもらった。最後まで笑い要員で通すのかと思えば、別れ際に宗左さんにぽつりと言った言葉にジーンとさせられたよ。宗左さんはこの一言で救われたなあ。うっかり涙が出そうになったじゃないか。感情移入しすぎた。
 さらっと聞き逃しそうなセリフが実は伏線でしたっていうパターンが多かったり、長屋メンバーが隅の方で細かい芝居をしてたりするので、1回観ただけじゃ網羅しきれてないだろうなー。これはまた観たい。セットもすごく自然で、丁寧につくられたんだなあとしみじみ思った。好印象です。「桜が潔く散れるのは来年も咲くことを知ってるから」っていうのはハッとしたなあ。孫さんいいこと言う。糞から餅ができるのか?孫さんナイス。