キュロットなんだって。2

懲りもせず2が始まったよ。

『かぐや姫の物語』を観たよ。

いやあ、すごいもん観ちゃったなあ。
大筋は最初から最後までみなさんご存知『竹取物語』なので、今さらネタバレもなにもないかな。高畑解釈がもりもりでおもしろかった。まさにかぐや姫の物語です。気のいいみんなの兄貴分がなんで捨丸なんて名前なのかと思えば・・・そういうことかー!


















上映前に『いのちの記憶』を生で聴けまして。席が後ろか前しか空いてなかったら後ろを選ぶんですが、今回なんとなく前列にした私グッジョブでした。二階堂さんの表情がよく見えた。歌いながら目にいっぱい涙をためてるのも見えた。正直に言うと、歌詞は入ってこなかったんす。じゃあなにに感動して涙が出たのか・・・思い返してもよくわからにゃい。プロデューサーとかぐや姫の声の人のお話も聴けて、よかったなー。女優ってすごいよね。生で見るとみんなキラキラしてる。綺麗とも可愛いともまた違う神々しさがある。あの圧倒的な感じなんなんすか。立ってるだけなのにい!いつも鏡で見る自分の薄ぼんやり感ったら・・・!プロデューサーはテレビで見たことあるけど、あの人イケメンすよね。めちゃめちゃスタイルいい。かっこいい上に気の利いたことも言える男盛りとか最強な生き物じゃん。結婚してるとなおいいです!今は30代だけど作品に関わり始めたのは20代だったわけで、20代でこの仕事するなんてジブリのエリートだと思うんですが。これからごじゅうおくえんの回収がお仕事!『いのちの記憶』を聴いた後に「映画見た後に流れるこの曲を聴いてもらうと、一語一語がしみると思います」的なことを力説してくれました。はたと歌詞を聴いてなかったことに気づいて、どんな感じで聴けるんだろうとピンとこないながらも楽しみにしていたけど、実際聴くと嗚咽がもれるくらいの・・・。私は子を育てたことがないんですけども、年の離れた弟の小さい頃を思い出して涙が止まらなくなってしまって。年が離れてるとうっかり親目線になってしまっていかんです。翁の「やれ立ったやれ歩いたと〜」と姫を慈しみ育てたのを聞いてその描写を思い返していたら、自分の当時の気持ちもよみがえってきてねー。ああそうだったなあと。もし弟が一緒に遊んだことも喧嘩したこともぜーんぶ忘れて感情すら無くされると想像すると、うわーとなりまして。なんてことを友達に話したら「あんた弟の結婚式で泣くね。スライド見ながらぜったい泣くね。」と断言されて、えー!と思いながらもイメージしてみると・・・な、なくはないかも・・・。弟の結婚式で号泣する30代独身の姉とかシャレにならんぜ・・・。ぜったい!泣かない!話それた。それまでかぐや姫に感情移入してたのが、ラストで翁たちの気持ちもぐわっとくる。*1そこからの『いのちの記憶』は本当にしみ透る。いまのすべては過去のすべて!必ず憶えてる!かわいい我が子を連れていかれて記憶まで消されるお父ちゃんお母ちゃんの気持ちと、わしの人生なんやったんや・・・ていうかぐや姫の気持ちが刺さる。そんな酷なラストを観た後に、高畑監督の言葉通り「観客の心を慰めてくれる歌」です。
話が前後しますけども・・・、のっけから絵柄にびっくりしました。あくびをする姫のほっぺのまっちろで柔らかそうなこと・・・!餅か!餅なのか!そっとつまむとどこまでも伸びそうな質感がそこにあるんよ。アニメでこんなの見たことない。あくびしながら後ろに仰け反る時の、ほっぺに埋もれたあごの可愛さに悶える。赤ちゃん期姫ちょうかわいい!赤ちゃんがもそもそ動くのずっと見ていたい感覚てあるじゃん。あんな感じ。かんわいい。完全に本物の赤ちゃん見てる感覚になってることにびっくりした。これ絵なんだぜー。翁のデザインかわいいよね。娘かわいさに暴走しちゃう人なのに、仕草やちいちいのお芝居も相まって、茶目っ気で中和される感じ。5人の男たちもキャラが立っててわかりやすい。見た目だけでだいたいどんな人なのかわかっちゃうのすごいなー。帝のあごっぷりも帝の性格に合っていたし。あんたなんかあごあごしくて当然だわと思わせる、そんな奴なんだよ。デフォルメは侍女が一番好きかな。顔が猫ぽいのは姫の側でごろ寝しちゃったりする感じとリンクしておもしろかった。姫の気持ちを理解してくれる人が少ない中、そっと寄り添って理解してくれてて救われたわあ。ベタベタしないけどちゃんとわかってる感じも猫的よね。あと車持皇子の一人再現芝居を姫の隣りで聞いてる媼のしらーっとした顔がツボった。
ジブリ映画で必ず話題になる声のことですけども、これそもそもがアフレコじゃないのね、声の芝居を録音してそれに絵を合わせたらしくて、それもよかったのか、とってもよかった!車持皇子は(声:橋爪功)ですからね。そら一人芝居サイコーなはずですよ。竹の子期姫の声と大きくなった姫の声がよく似てて、自然に成長してた。綺麗な声よね。芯がある感じ。2人とも歌上手だった。姫が歌うあの歌は輪廻転生を意味するんじゃないかなー。上映前に聴けた二階堂さんの自身の出産に絡めたお話とも『いのちの記憶』の歌詞ともつながる気がします。月の人たちやその音楽もちょっと仏教的だったのもそういうことかな。・・・と考えると、かぐや姫が最後に言ってたこともつながるかな?途中で羽衣着せられちゃったあれ、思い返すとかなりのキーポイントじゃないかと思います。確信が持てないのはうろ覚えだから〜。あーあそこもう一回聞きたい!
観終えて、かぐや姫の罪ってなんだったんだろうと数日考えてるんですが・・・。地球に興味を持ってしまったこと、だとどうすかね。歌を歌いながら涙を流す人を見て、その思いに強く惹かれるんだけど、高貴な月の人が穢れた卑しい地球のことに興味を持つことが月では許されないことだったと考えると、かぐや姫のラストの言葉が一層切なくなるよ・・・。そんなに行きたいなら行ってこいよつって地球にやられて、そこで抱く希望をことごとく折られるのが罰だとしたら・・・!そんな人生って・・・!!!いやあ月の人えぐいわ!仏みたいな顔してるくせに!
で、今日満月じゃん。今頃あの歌を歌ってて、かぐや姫のような運命をたどる人がまた地球に落とされるかもしれない。というかはるか前からずっと繰り返されてきたことなのかもしれない。いろいろ考えてたら、思いが叶わない人生は私もかもなー、人生って、生きるってそんなもんなのかもなーとか思いました。それでもなにも感じない月よりずっといいって言うんですよあの子・・・!もうね、それまでのかぐや姫の心情を追うと、その言葉はあまりに重い。私30年地球にいるんで、かぐや姫よりかなり長い期間いると思うんですが、姫が言うような地球のすばらしさや生きる喜び美しさを未だ実感できず・・・。死ぬときにかぐや姫みたいに愛しく思えたらいいなと思います。

*1:最後のお別れの最中なのに容赦なく羽衣を着せる月の人!姫がまだ喋ってる途中でしょうが!(田中邦衛